【貴族の優雅な薬草さがし】
街設定:シュエット
都市。前回のラパスから北に二日歩いた街。街道あり、草原の先にある街。
学術都市で、医者や学者が多くいる町。薬や研究の素材などを集めるため冒険者に依頼を出すものも多いらしい。
温暖な気候。
【オープニング】
街を歩いていると、数人の兵士が困っているのに気づく冒険者。
どうやら、兵士たちが雇われている家の奥方が病気になったらしい。兵士たちは「星の柘榴」というヒーリングハーブを探しているらしい。街にいくつもあるハーブ屋を回っているようだが、なかなか見つからないらしく、報酬1000Gで依頼を出そうかと思っていたらしい。
旅人が依頼を引き受けるというならば、ハーブボトルをPT人数分受け取る(任意)。また、必要な「星の柘榴」は五個、ということも聞かされ、前金として500Gを受け取る。
【アクト1:お嬢様】
・時刻:朝 天候:晴
・五感に感じること:にぎやかな街の中で、あわただしく駆け回る兵士たち。高級そうな馬車がいくつも並んでいる。
旅人が兵士たちから依頼を受けたところに、ドレスを着た金髪の少女が現れる。
どうやら兵士たちを雇っている家の一人娘、アリエルらしい。
彼女は兵士たちを『だべってないで早く探してきなさいよ!』としかりつける。旅人が依頼を受けた、という話を聞くと、「そう。じゃあよろしくお願いするわね。あたし、急いでるんだから」
兵士たちやアリエルから知力+精神6で聞き出せば、まだ回っていないハーブ屋があることが聞けて、場所を教えてもらえる。
また、アリエルに交渉(知力+精神目標値9)することでついてきてもらうことができる。
【アクト2:情報収集】
・時刻:昼
・五感に感じること:ヒーリングハーブ屋は植物の匂いでいっぱい。学者の部屋は薄暗く、本のカビの匂いがする。
ハーブ屋に行くと、星の柘榴はないということが分かる。知力+精神目標値6で、場所を聞き出せる。また、酒場や学者を尋ねるという方法でも聞き込み可能。ただし、学者は気難しい人物がほとんどで、聞き出すときには知力+精神目標値9のチェック。情報料を渡すなどで目標値を下げてもいい。
ハーブ屋に行ったときにアリエルがいると、「店主、星のザクロを出しなさいよ!」と苛立ちながら店主に怒鳴りつける。
落ち着くように諭すと、「だって、お母様が……」とすこし涙目になる。
知力+精神8で事情が聴ける。どうやら早く母親にヒーリングハーブを届けたくてしょうがないらしい。(少なくとも本人は)病気がとても重いものと思っており、本気で心配しているようだ。
ヒーリングハーブ屋か情報屋で情報を得た場合:「林に柘榴を管理している一家が住んでいるから、話をすれば分けてくれるだろう」という情報を得られる。
情報屋・酒場で情報を得た場合:柘榴のある林の近くに、盗賊がいるという話が聞ける。
学者:星の柘榴の効用。滋養強壮に効く、特別な柘榴だということが聞ける。また、学者に聞いた場合林になっているということはわかるが、道中のことはわからない。ひきこもり。
共通:林までの地形情報。学者以外なら、道中は草原だということもわかる。
情報収集を終えるころには夕方になる。アリエルがいる場合は、「あたしたちは別に宿をとっているから。自分たちの宿代は払った前金から出してよね、そこまで面倒見切れないわ」と言いながら離脱。たかびー。
【アクト3:いざ出発!】
・時刻:朝 天候:晴 地形:草原
・五感に感じること:穏やかな風が頬をなでる。暖かな日の光は眠気を誘うかもしれない。
朝、出発。
草原の道には街道はない。移動チェック、方向チェック。
(時間の都合にもよるが、サブイベントとしてあるくたまごなどを出してもいいかもしれない。)
夜になったら野営チェック。
【アクト4:柘榴の林にすむ少女】
・時刻:朝 天候:晴 地形:林
・五感に感じること:やわらかな風が林の木々の葉を揺らす。林の入り口に、木造の小屋がぽつんとある。
順調ならば次の日少し歩いたあたりで小屋を見つける。
訪ねるとここに住む少女ミューゼと出会う。「星の柘榴ですか? なってる場所、知っていますよ。もしよろしかったら、案内します」といわれ、案内される。
移動チェック(林+晴)。ミューゼがいれば方向チェックは不要だが、ミューゼに話しかけなかった場合は必要になる。成功すれば一時間半ほどで目的地につく。時間はミューゼの案内を受けた場合も同様。
【アクト5:柘榴を狙う泥棒猫】
・時刻:昼 天候:晴 地形:林
・五感に感じること:少し開けた場所に、柘榴がいくつもなる木々が並んでいる。
柘榴のなる場所敏捷+知力、目標値5で収穫できるか判定し、達成値-目標値分獲得。クリティカルなら無条件で6個、ファンブルなら木から落ちたとしてダメージ1点とかでいいかと。
全員が一回ずつ判定すると、ホブネコゴブリンたちが飛び出してきて、\そのうまい柘榴をよこすほぶにゃー/と柘榴を奪おうとする。ミューゼはホブネコゴブリンたちをよく知っているらしく、「またあんたたち! 柘榴はあげないからねー!」と怒りをあらわにする。
ホブネコゴブリン×1 コネコゴブリン×2と戦闘。敵の位置はホブネコがバックエリア、コネコゴブリンたちがフロントエリア。クライマックス戦闘とみなしオブジェクトは10個。
勝利(ホブネコが倒れたらコネコゴブリンたちが『親分がやられるなんてー!』と自ら負けを認める)したら、ホブネコゴブリンたちは逃げ出す。もし戦闘後も柘榴を採取したいなら、一回につきHP-1。
【アクト6:そして星々にきらめく】
・時刻:夕方 天候:晴 地形:林
・五感に感じること:木々の間から、キラキラと光がきらめいている。星とはまた違う輝きが、少し眩しいくらいだ。
無事柘榴を手に入れ、ミューゼの小屋まで戻るころには日が暮れかかるころなっているだろう。
ふと柘榴がなっていた場所の方を見ると、きらきらと美しく輝いている。黄昏の中に輝く、星のようで、まるで暮れの明星が増えたようにも見える。
ミューゼと出会っていた場合、食糧を人数×一日分もらえ、水も補給できる。
旅立つとき、ミューゼから「さびしいので、もしよかったらまた来てください」といわれる。
帰り道はブレス:ミライで省略可能。
【エンディング】
・時刻:朝 天候:晴
・五感に感じること:にぎやかな街。兵士たちの喜びの表情。
街に着き兵士にハーブボトルを渡し、報酬750Gを受け取る。
アリエルもしぶしぶだが礼を言いに来る。「……ま、助かったわ。うちの兵士たちよりは役に立ってくれて、ありがとう」 ツンデレ。
星の柘榴は余った分は旅人がもらえる。使用期限は通常のヒーリングハーブと同じ。夕陽のヒメリンゴの上位互換で、使えば5点HP回復。Lv3。
NPC
アリエル・クレメンタイン・ハロウズ
強気なノーブルのお嬢様。
クランガルドという街から兵士たちと一緒にシュエットに薬草を探しに来た。
本当は病気の母親のことが心配でたまらないが、兵士たちの前では必至で強がって隠している。
キイチゴのタルトが好物。あげたら機嫌を直してくれるかもしれない。RPの種に。
「こんなところで油売ってる暇があるなら仕事しなさいよ!」
「う、うるさいわね。関係ないでしょ!」」
ミューゼ
星の柘榴がなる林に住む少女。親が星の柘榴を育てており、現在は外出中の親に代わりミューゼが星の柘榴を管理しているが、泥棒ネコゴブリンに悩まされている。
12歳とまだ幼いが、星の柘榴に関する知識は両親から教えられており、一人でも世話できる程度にはある。
「あれ、いつも柘榴を買いに来ているハーブ屋さんじゃない……ですか?」
「もー!またあんたたちなの! あんたたちにあげる柘榴はないわよっ!」
【作者より】
もともと架空卓キャンペーン用に作ったシナリオです。
PCにノーブルがいなくても使えるようにしたのかこちらのバージョン。
ノーブルNPCについては、このシナリオではミューゼのいる林にまで行くのは想定していませんが、改変で戦闘能力まで設定して星の柘榴を一緒に取りに行く、というのもありかもしれません。
また、ネコゴブリンたちの数を増やして(もしくは登場させるモンスターをもっと高レベルのものにして)対象レベルを引き上げるという改変もできると思います。戦闘勝利条件を相手の全滅に変更しても問題ないです。